12時40分。娼婦のゲッテイはゆっくり目覚めようとしていた。日本が世界から回線を遮断される三時間前に、ゲッテイに異変が起こっていた。
ゲッテイは日本語を少し話せるのだが店長からは、余計なトラブルに巻き込まれない様にと、店ではワザと片言で話すように指導されていた。10時40分過ぎ、一人の客が訪れた。
例に漏れず、客とは一切話をしないで
シャワー浴びさせ、片言で「ウツブセ,OK?」と客を布団の上にひかれたタオルケットの上に誘った。
ゲッテイは客も客の体を覚えないようにしている。
仕事としてただマッサージをして、ゴムをして本番して客を帰すのだ。
送りバントの生活、セックスなんて実に味気ない。国への仕送りの為に仕方なく、やっているのだ。
ゲッテイは、いつも通り、サービスを行おうとしていたが、男性の様子がおかしいのだ。
服を脱がすと、体中がアザだらけなのである。驚いたゲッテイは店長を呼ぼうとしたが男性の腕力に止められた。そして男は無理やりゲッテイの唇を奪うと、スカートを一気にまくしあげ、犯そうとしてきたのだ。
ゲッテイの悲鳴と男の呻り声が部屋中をセンセーショナルなものにしていく。
店長が急いでカーテンを振りかぶった時にはゲッテイは貫かれ、白目を剥いていた。
男は何もいわず、ゲッテイの体をすすっていた。
店長は大事な商売道具であるゲッテイを傷物にされた怒りをあらわにしていた。
奇妙にも体中のアザが青白く光っていた。店長はすぐ警察を呼んだ。
部屋から出さないようにと警察の指示があり、ボコボコにした後、シャワールームに閉じ込めた。
警察官が四名、救急隊員二名が5分後に到着した。
そして意を決してシャワールームに潜入すると男は首筋に剃刀を当て、自殺しようとしていた。
男の意識はあまりなく、シャワールームは流血場と化した。
レッドランプの照明が血だまりをよりグロテスクなものに映らせる。
男は弱る一方だ。警察官はゲッテイを心配し、部屋で休む様に指示して、店長は運営サービス状況について厳しく注意された。どうやら男は何か最後に言いたいそうだが、聴くかと、警官の一人が店長を呼ぶ。
「か、彼女はいい子だからきっといい子が生まれるだろう」
男はその瞬間、胸ポケットに入っていた携帯型の爆発物を起動して憤死した。
あたりは肉の焼ける匂いと男の体液がほとばしる。壮絶な死だった。
生まれる、ゲッテイから何が、子供か。そんな馬鹿な!ゲッテイの眠る休憩室に入るとゲッテイは安らかに寝入っていた。安心した。店長は入店間もないゲッテイに済まないという気持ちで一杯だった。
布団を掛けてあげようとしたら、腹がドンドン膨れていき、耳を近づけると胎動を繰り返しているのだ。
これはどういう事だ、こんな怪現象、44年間生きてきて始めてだ。
店はもう当分開く事は出来ないだろう。それよりも
ゲッテイ、どうしたんだ、天使の様ににこやかに笑いながら眠っている。
警察は応援を要請しているようだ。男が何者だったのか。私にはわからない、私も懲役を食らう可能性がある。そして私とスタッフ、娼婦達は警察に連行されるのであった。